- シェル・アビエーション社がデルタ航空に供給するニートSAFは、2年間で1,000万ガロンで、ロサンゼルス空港で使用されます。2030年末までのSAF導入目標10%達成に一歩近づいたことになります。
- 本契約には、航空機の運航による二酸化炭素排出量を追跡・算定するための透明性の高いプラットフォーム「アべリア(Avelia)」のテストも含まれています。
デルタ航空は、航空業界最大の脱炭素化を実現するために、持続可能な航空燃料(SAF)に数百万ドル規模の投資を行います。
デルタ航空は、2年間で最大1,000万ガロンのSAFをシェル・アビエーション社から購入し、ハブ空港のひとつであるロサンゼルス国際空港で使用すると発表しました。これにより、2030年末までに燃料の10%をSAFに置き換えるという目標の半分以上を達成することなり、2035年にはSAF使用量を35%にするという目標に大きく近づくことになります*。一方シェルは、2050年までに排出量ゼロのエネルギービジネスを目指しており、両社の目標が相互に補完しあうことになります。
デルタ航空のチーフ・サステナビリティ・オフィサーであるパム・フレッチャー(Pam Fletcher)は、「現在、世界の民間航空会社の1日分の燃料に相当する量のSAF燃料はありません。だからこそデルタ航空は、今回のシェルとの合意のような需要シグナルを作り続け、この主要な脱炭素化の手段が投資に値し、成長させる価値があることを示そうとしています。利害関係者と政府が協力し、現在自動車の燃料のために行われているのと同等の投資とインセンティブを提供すれば、わずか数年で大きな影響を与えることができると考えています。」
カリフォルニア州の低炭素燃料基準では、同州にSAFを供給する生産者へのインセンティブが与えられているため、ロサンゼルス国際空港は、SAFの混合燃料の供給を受けることができます。他の州でも、SAFへの投資と拡大を奨励する連邦政府の政策を補完するために、同様のSAFプログラムと税制優遇措置が検討されています。
SAFの利点には以下の3点があります。
- ニートSAFを製造する際のライフサイクルの炭素排出量は、従来のジェット燃料と比較して最大80%削減されます。また、SAFのパートナーであるジーボ(Gevo)社のように、SAFの製造が農業のカーボンフットプリントの低減に貢献するケースもあります。
- 米国試験材料協会(ASTM)のジェットA規格の認証を受けた「ドロップイン燃料」なので、既存の燃料インフラを使って空港まで輸送することができます。デルタ航空は、2022年にこれを証明する重要な役割を果たしました。
- ニートSAFは、最大50%の比率で従来のジェット燃料と混合することができ、現在の航空機エンジンに使用することができます。デルタ航空は、アトランタにある最先端のエンジン・テストセルでSAFのエンジンテストを行い、この技術を証明するリーダー的役割を担っています。
シェル・アビエーション社の社長であるジャン・トシュカ(Jan Toschka)氏は次のように述べています。「デルタ航空がSAFを重要視し、ライフサイクルエミッションの削減に貢献するとともに、SAFのさらなる生産と供給規模の拡大につながる需要を提供してくれることは、素晴らしいことです。このような意欲的な長期供給契約は、航空業界がより持続可能な未来へと移行するための鍵を握っていると思います。」
デルタ航空は事業全体の透明性を高めることにコミットしており、それにはサステナビリティも含まれます。そのため、今回の契約には、シェル社のSAFの配送とその使用データの追跡を「アベリア」を使ってテストすることも含まれています。 アベリアは、シェル・アビエーション社とそのパートナーが昨年開始した、世界初のブロックチェーンを活用したデジタルSAFソリューションの1つです。この技術により、SAFと環境データを完全な透明性で追跡し、ダブルカウントなどの問題を回避しながら、デルタ航空およびSAF協定を結んでいる法人顧客の排出量を削減することができると期待されています。
*第三者からの出資とタイムリーな施設整備を前提としています。